雨音が響く星空の下で
春。

桜は散り、緑がニョキニョキと芽を出し始めた頃。
私は隣にいるそらちゃんのおかげで、あまり新鮮味のない新学期を迎えた。


それでも何処か浮き足立っているのは、まだワックスでピカピカの床と馴染みのないクラスメイトのせいだ。

大掃除してから使ってないであろう深緑の黒板にはいつもより丁寧にチョークを走らせる見慣れた担任。

数ヶ月前の雪がまるで夢だったかのように、暖かい日差しが教室を照りつける中、1ヶ月ぶりに聞く黒板を叩くチョークの音でようやく春休みの終わりを実感した。



午後イチの眠たい授業の終わりを知らせる終鈴がなると机の中から今呼んでいる本を取り出す。

隣の席に座るそらちゃんは私と違って沢山友達がいるから休み時間は楽しくお話をしている様子。



今読んでいるのは夏目漱石の[こころ]。
現代文の授業で短縮版を読んでからきちんと全てを読みたくなりわざわざ図書室から借りてきた。


この本には何度も読み返してしまうある文がある。

それは青年が先生の過去を訐こうとするシーンで先生が青年に問うあのセリフ。

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