雨音が響く星空の下で

雨の中

「さて、みなさん。和歌には“春雨”や“五月雨”と言った雨を表す様々な言葉がありますが、意味を知っているでしょうか?」

5時間目。
お昼休みの後の古文は眠くてたまらない。

それは私に限った話でもないようで、黒板から少し視線をずらせば頭を上下にコクコクと揺らす生徒がチラホラ。

橘先輩とはあれからもちろん連絡を取っておらず、なんだかあの記憶は夢だったんじゃないかとも思い始めている。


それくらい、橘先輩と出会う前と後で何の変化もない。



3年生の先輩とは生活するフロアも違えば下駄箱が置かれた玄関も真逆に位置している。

それに私は2組で橘先輩は6組。

たまたま階段で居合わせることなんかも無い。



あんなに色濃かった数日が簡単に色褪せていく。



「「「いち!にー!さん!しー!!」」」



でも、唯一…
私が橘先輩を見られる時間がある。


運動場で緑の体操服を見かけると、橘先輩じゃないかと授業中外を見る時間が増えた。


今日は…あっ、橘先輩見つけた…!


運動場で体力測定をしてるっぽい。

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