雨音が響く星空の下で
100メートルのレーンに綺麗に列になっている中に橘先輩がいる。

橘先輩、足速いのかな…?
でも現役バスケ部だもんね、きっと早いよね…


すっごく気になる______

ただ体操座りをして待っている時間も、橘先輩の周りには沢山のお友達さんがいて、ガンガン照りつける太陽に負けないくらい明るい笑顔を振りまく先輩。


きっと男女問わず仲良い人が沢山いる人気者なんだろうな…。


そしていよいよ橘先輩が走るターンに。

眠かったことを忘れるくらい橘先輩を見ることに集中していた私は、古典の授業なんて1ミリも聞かずに運動場を凝視する。



「そういえば、このクラスにいる守咲時雨さんの“時雨”もよく和歌に出てくる雨の様子を表す季語ですね」

「へっ?」



全く話を聞いていなかった私は突然名前を呼ばれ、変な声を出してしまった。

授業冒頭からコクコク頭を揺らしていたクラスメイトまでみんなが私を見ていてかなり居心地が悪い。



……恥ずかしい…



「ちなみに守咲さんは“時雨”という言葉の意味を知っていますか?」


時雨。

降ったり止んだりする雨の名前だと小学生の頃に調べたことがある。

「しぐれ」という音は可愛いけれど、それにそぐわない何とも普通な意味を持つ言葉。

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