溺愛センパイと雨空の下で。
すると香る柔らかい桃のフルーティー。
この匂いはもちろん、知ってる。


「…ちゃんと呼吸して。……やっぱり待ってるから。私が時雨と一緒にいたいだけだよ。」

「……ヒッ、ご、ごめんっ、ぅ、」

「はいはい、大丈夫だよー、私がいるからね、はい深呼吸しようね」


そういって背中を優しく摩ってくれる小さい手に私の心臓は少しずつ速度を落としていく。
気が付けば身体の震えは落ち着いていて、呼吸も整っていた。

こんな私を見たそらちゃんは優しい目で「日誌代わろうか?」と言ってくれたけど流石に断った。
そらちゃんばかりに負担をかけるわけにはいかないもんね。

そう意気込む私をまたそらちゃんは抱き寄せて、「ちゃんと頼ってよ?」と言ってくれた。



窓の外には不必要なくらい大きい運動場
響き渡る部活動の声
眩しい夕日

さっきと何も変わらないこの景色が何故か霞んで見える。


隣に座るそらちゃんは首にかけていたヘッドホンを頭にセットし、音楽を聞いてるようだった。

そらちゃんが待ってくれているし、早く日誌を終わらせないと。
今日一日の時間割と担当教員の名前などを書き、長い長い1日の感想に頭を捻らせているところだった。

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