娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
そう言ってもらえるのはありがたいが、忙しい蓮斗に無理をお願いするのは申し訳ない。

遠慮しタクシーで帰ると何度も伝えたが、結局、幼稚園から持ち帰った荷物やバースデーケーキ。

そしてなにより朱音という眠ってしまうと重量オーバーだと言いたくなるほどの荷物を抱えていては、杏奈ひとりで運ぶのは大変だ。

結局、蓮斗の言葉に甘えて送ってもらうことにした。

自動車に詳しくない杏奈でも知っている、国産の高級車。

後部座席に真新しいチャイルドシートが設置されていて、それだけで蓮斗が朱音を車に乗せるのを心待ちにしていたのがわかる。

おまけにバックミラーに映る朱音の寝顔が目に入るたび、うれしそうに目を細め、頬を緩めていた。

「次の信号を右に曲がってもらえますか? ひかり食堂が見えるので、通り過ぎてすぐのマンションなんです」

杏奈は後部座席から身を乗り出して、前方の信号を指差した。

< 123 / 249 >

この作品をシェア

pagetop