娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
時代を感じる邸宅と築浅のマンションが混在する住宅街は、規則的に並ぶ外灯のおかげで夜道も明るい。

オフィス街が近いので平日は人通りもそれなりにあるが、日曜日の今日はまばらだ。

車は信号を右折し、ひかり食堂の前をゆっくりと通り過ぎた。

日曜日の夜は客の多くが家族連れで、今も店の外にウェイティングの列ができている。

「ここが杏奈の職場?」

蓮斗は車のスピードを落とし、尋ねた。

「そうです。ここで働いてます」

「灯台もと暗しってことか。この店舗には来なかったな。結構悔しい」

「ごめんなさい」

とっさに体を小さくして頭を下げる。

九州に転勤すると嘘を伝えたことを、改めて後悔した。

「だから謝らなくていい。今さらだってこの間話しただろ。それより隣のマンションってここでいいのか?」

「そうです。ここの三階です」

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