娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
ひととおり話を聞き終えて、杏奈は詰めていた息を吐き出した。

ふと視界に入ったのは、帰宅してすぐに取り込んだ朱音の体操着やパジャマ。

タオルに混じってソファの上に積まれている。

「朱音、迷惑をかけてないかな」

声を漏らした杏奈を、蓮斗は大げさに肩をすくめて見やる。

「俺のライバルは、慎太君だけじゃなかったんだな。ショックだ」

「ランは慎太君より手強いですよ」

クスクス笑い、杏奈は答えた。

ランは同じフロアに住んでいる公美子おばあちゃんとともに暮らしている柴犬で、今は朱音と公美子おばあちゃん。そして娘さんとで散歩に連れ出している。

今頃マンションの敷地内にある公園で、走り回っているはずだ。

「俺と遊ぶよりランの散歩の方がいいってハッキリ言われた時は、今年一番落ち込んだ」

蓮斗は力なくつぶやき肩を落とした。

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