娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
杏奈以外みな食事を終えているのか、ひとつだけテーブルに置かれている。

まだほんのり温かく、ラップを外した途端美味しそうな香りが鼻先をくすぐった。

八時からのシフトだったので空腹は最高潮。

サラダとオニオンスープとともに、あっという間に完食した。

今日の勤務は十七時まで。

おいしいまかないのおかげであと三時間踏ん張れそうだ。

バックヤードで事務仕事をすることもあるが、一日中ホールで立ちっぱなしというのも珍しくない。

仕事を終えると脚がむくみ疲れきっている。

それでもこの仕事を辞めずに続けているのは、幸せそうな顔で食事をするお客様を見るのが好きだからだ。

子どもの頃、ひとりで食事をすることが多かった杏奈にとって、食事は楽しむものではなく生きるために必要な栄養素を体に取り入れるためだけの作業。

決して幸せなものでも楽しいものでもなく、単なる義務だった。

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