娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
母の呆れているのか感心しているのかわからない声に、蓮斗は苦笑する。

〝あの人〟というのは蓮斗が勤務している安西製薬の社長である父のことだ。

母とは蓮斗が一歳の時に離婚していて、それ以来ふたりが顔を合わせたことはないと聞いている。

『あの時のお見合い相手の駒田さん。離婚して実家の病院を手伝っているようよ。検診のことでうちに来られた時にあなたがどうしているのか聞かれたこともあるし。挨拶代わりに聞いただけかもしれないけど。どうなのかしらね。濁しておいたけど、あなたがまだ独身だって知ったら、お見合いをしたいとか言い出したりして』

「母さん、占い師にでもなった方がいいんじゃないか?」

蓮人は母の勘のよさに脱力し、天井を見上げた。

実はここ数日、父から駒田さんと会えとしつこく言われていて辟易している。

五年ほど前、父から彼女との見合いを命じられたが、頑として拒否した。

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