娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
『手切れ金ならいくらでも出してやるから息子と別れろ。別れないなら後継者争いで社内が混乱して研究や開発に影響が出る。そのせいで命を落とす患者がいないとも限らん。そんなことになれば、君も目覚めが悪いだろ。とっとと別れてくれ』

杏奈は蓮斗の父の強気な言葉に動揺した。

おまけに裁判で患者を救えなかったことに、責任を感じている蓮斗の姿を目の当たりにしたばかり。

自分たちが別れなければ命を落とす患者がいるかもしれないと言われて、平然としていられるわけがない。

今落ち着いて考えれば、安西製薬ほどの大企業が後継者問題という、いってみれば内輪もめ程度のことで揺らぐわけがないとわかる。

けれどあの時は、蓮斗の父の押しの強さにたじろいだだけでなく、見合い相手の女性が国内有数の大病院の娘だと聞いて、自分よりも蓮斗の将来にプラスになると考えてしまったのだ。

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