娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
『あなたのことを調べたけど、離婚した両親はそれぞれ新しい家庭を持っていて、家族もいなくてひとりきりなのね。同情はするけどだからって蓮斗さんにまとわりつかないで。大学時代の奨学金だって、蓮斗さんに返済してもらおうとか考えてるんじゃないの? だったら今回の手切れ金で全額返済すれば? 悪くない話よね』

見合い相手の女性の言葉は刃のように鋭くて、杏奈の心を深く傷つけた。

奨学金の返済を蓮斗に頼るつもりなどもちろんなかったが、彼の側にいる限り自分は周囲からそう思われても仕方がないと気づいたのだ。

おまけにその日の午前中に受診したクリニックで、妊娠しているとわかったばかり。

ただでさえ混乱している中で、冷静な判断はできなかった。

蓮斗は自分とは違う世界で生きていて、自分の存在は彼の足かせになる。

出張中の蓮斗と連絡が取りづらいのも相まって、そう思い込むのはあっという間。

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