まずは結婚してからだ
「お待たせいたしました。新郎新婦のご準備が整ったようです。皆様盛大な拍手でお迎えください」
司会者の高らかな声を遠くに聞きながら、花梨は拍手を送る匠の端整な横顔からようやく視線を逸らした。
無事にお開きを迎えて彩芽や陸上部の友人たちが二次会に向かった後、花梨は緊張でドキドキしながらロビーに向かった。
もしかしたら匠の気が変わって、二次会に出席するなり明日のフライトに備えて早々に帰宅するなり、花梨を自宅に送れなくなったと連絡があるかもしれないと考えていたが、ついさっき届いたメッセージには【ロビーで待ってる】とひと言。
「どうしよう」
後輩思いなのはありがたいが、これまで個人的な付き合いがあったわけではなく、わざわざ送ってもらう理由などないのだ。
とはいえ匠はすでにロビーで花梨を待っていて、これ以上待たせるのは申し訳ない。
花梨は緊張でバクバクと音を立てている心臓の音を意識しながら、エレベーターに乗り込んだ。
「お待たせして申し訳ありません」
花梨はロビーのソファに腰を下ろしていた匠の前に駆け寄り、頭を下げた。
「いや、大して待ってないから気にしなくていい」
匠は気安い口調でそう言うと、傍らに置いていた引き出物が詰められた紙袋を手に取り立ち上がった。
「それも、俺が持つよ」
花梨が手にしていた同じ紙袋を、匠は素早く取り上げた。
司会者の高らかな声を遠くに聞きながら、花梨は拍手を送る匠の端整な横顔からようやく視線を逸らした。
無事にお開きを迎えて彩芽や陸上部の友人たちが二次会に向かった後、花梨は緊張でドキドキしながらロビーに向かった。
もしかしたら匠の気が変わって、二次会に出席するなり明日のフライトに備えて早々に帰宅するなり、花梨を自宅に送れなくなったと連絡があるかもしれないと考えていたが、ついさっき届いたメッセージには【ロビーで待ってる】とひと言。
「どうしよう」
後輩思いなのはありがたいが、これまで個人的な付き合いがあったわけではなく、わざわざ送ってもらう理由などないのだ。
とはいえ匠はすでにロビーで花梨を待っていて、これ以上待たせるのは申し訳ない。
花梨は緊張でバクバクと音を立てている心臓の音を意識しながら、エレベーターに乗り込んだ。
「お待たせして申し訳ありません」
花梨はロビーのソファに腰を下ろしていた匠の前に駆け寄り、頭を下げた。
「いや、大して待ってないから気にしなくていい」
匠は気安い口調でそう言うと、傍らに置いていた引き出物が詰められた紙袋を手に取り立ち上がった。
「それも、俺が持つよ」
花梨が手にしていた同じ紙袋を、匠は素早く取り上げた。