まずは結婚してからだ
「そうです。十九時の便に乗り遅れると明日の仕事に間に合わないらしくて。いえ、びっくりしましたよね。すみません」

 よほど焦っているのかどの顔も紅潮していて息が荒い。

「だったら急ぎましょう」

 花梨は匠から離れ、エレベーターの扉を素早く閉じた。
  続けてスマホで時間を確認すると、十七時三十分。
 花梨は匠と顔を見合わせた。

「ご予約の便は羽田出発ですか?」

「は、はい。そうですけど?」

 女性の背後にいた男性が、首をかしげ答える。搭乗するのは彼のようだ。

「羽田十九時発。新千歳行きでしょうか」

 日本エアウェイズ航空を利用するなら、きっとそうだ。
 男性が目を見開きうなずいた。

 花梨はとっさに笑顔を作りうなずき返すと、匠を見上げた。

「ここから羽田まで車だと少なくとも四十分はかかりますね」

「そうだな。事故で混んでいるみたいだし、もう少しかかりそうだな」

 匠も時計を見ながら答える。
 搭乗予定の男性の手前落ち着いた表情を浮かべているが、内心焦っているはずだ。
 出発時刻の二十分前までに保安検査場を通過し、十分前までには搭乗口に行く必要がある。
 もし間に合わなければ飛行機に乗ることはできないのだ。
 このタイミングだと、間に合うかどうか、ギリギリかもしれない。

「あの、お預けになる手荷物はございますか?」

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