まずは結婚してからだ
「パイロットになるくらいだから、先輩も子どもの頃から飛行機に興味があったんですね」

「あ、ああ」

 幼い頃の話が照れくさいのか、匠は口ごもり答えた。

「弟も飛行機が本当に大好きで、毎回なかなか帰ろうとしなかったんです。だから私、弟が飛行機を眺めてる横で、学校の試験勉強をすることもあったんです」

「試験勉強?」

 匠が驚くのも無理はない。

 もちろん花梨自身も幹太と一緒に楽しんでいたが、高校時代は部活に時間を取られることもあって、幹太に付き合いながら、試験勉強もしていたのだ。

「弟さんと、仲がいいんだな」

「八つも年が離れているので、かわいくて仕方がなくて。初めて会った時から懐いてくれたのもうれしくて、甘やかしてしまいました。姉バカですけど自慢の弟です」

「初めて会った時? 弟さんが生まれた時ってことだよな?」

「それは、ちょっと違っていて……」

 話が弾んでまた余計なことを言ってしまった。

「実は、私」

 どう言えばいいのかと、花梨は言葉を探した。

「ごめん。言いづらい話なら別に無理しなくていいから」

 黙り込んだ花梨を気遣ってか、匠が言葉を挟む。

「いえ、大した話じゃないんです」

 そう、今となっては大した話じゃない。親の離婚や再婚は、よくある話だ。

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