まずは結婚してからだ
第一章
第一章 今も昔も素敵なパイロット


 今日という日にふさわしい、まるでベールのような陽射しが降り注ぐ四月半ば。
 沢野花梨は高校時代からの友人、野島皐のウェディングドレス姿に感激して、目を潤ませていた。陸上部でともに汗を流していた頃の日焼けした肌は、今ではその名残ひとつない。
 丁寧な刺繍が施された純白のドレスが白い肌に映え、目が離せないほど美しい。
 スポーツメーカーで働く皐は三年の社内恋愛を成就させて、今日の午前中ホテル内の神殿で無事に式を挙げた。
 相手は入社以来思いを寄せていたという会社の先輩で、白無垢と紋付き羽織袴で並ぶふたりはとても幸せそうだった。
 ここは都内屈指の高級ホテル。大安というのも相まって、他にも何組かの結婚披露宴が行われているようで、礼服姿の男性やドレスアップした女性が絶えず行き来している。
 花梨はスマホに八歳年下の弟・幹太からメッセージが届いていることに気づき、化粧直しに席を立つ友人たちとともに会場から出てきた。
 新郎新婦はお色直しで中座していて、現在、披露宴会場は歓談中。
 花梨は今日のために用意したベージュのワンピースを気にかけながら、空いていたソファに腰を下ろすと、早速幹太に折り返しの電話をかけた。
 普段はシニヨンにまとめているだけのセミロングの黒髪も、今日はホテル内の美容室でハーフアップにしてもらい毛先がさらさら揺れている。
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