先生、あなたに逢えて幸せでした
予期せぬ訪問者
その人が陽介のアパートに来たのは私が妊娠の話しをしようと決めていた土曜日の前日金曜日だった。
この日程、恐怖を感じた事も人間の嫉妬が恐ろしいと感じた事はない。
予期せぬ訪問者が来たのは夕方の6時頃だった。
珍しく陽介の部屋にチャイムが鳴り響く。
私は宅配便かなって思いいつもなら相手の姿を確認してから開ける扉を躊躇いなく直ぐに開けてた。
扉の前には少し顔色が悪そうな女の人。
見覚えもないし、陽介にはお姉さんは居ないはず。
年は陽介ぐらいに感じた。
『あの…?どちらさまですか?』
私は恐る恐る聞いた。
相手の人は表情一つ変えず私の顔を見据えてくる。
「陽介はまだ帰ってないわよね?」
『はい。まだ仕事から帰ってません』
私はなんでこの人が呼び捨てで陽介の名前を言ったか何となく気付いた。
この人もしかすると陽介の元カノの美咲さんじゃ?……
「そう。私が用事あるのはあなただからちょうどいいわ。私は陽介の元カノの美咲よ」
……あぁやっぱり。扉を開けた時から嫌な予感がした。
私と陽介との別れのカウントダウンが聞こえた気がする。
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