こもれび日和
コモレビ保育園のホールには、赤い毛氈を敷いたひな壇が飾られていた。
おひなさまとおだいりさまのやさしい顔。ぼんぼりの灯り。
ふわっと甘いひなあられの匂いと、すし酢の香りが混ざり合っている。
「きょうは、ひなまつり会ですよ〜」
カグラサクラ先生の声に合わせて、
園児たちはぱたぱたと集まってきた。
歩も直も、前のほうにちょこんと座る。
ピアノの音に合わせて、みんなでひな祭りの歌を歌う。
歩はちょっと大きな声で、直は少しだけ恥ずかしそうに、
けれどちゃんと口を動かしていた。
ふと、歩は横に座るユイの横顔を見た。
(……あれ?)
ちゃんと歌ってはいる。
でも、その目はどこか遠くを見ているようで、
いつもの“ふわっとした笑顔”がない。
歌が終わると、今度はお楽しみの時間。
テーブルには色鮮やかなちらし寿司とひなあられ、甘酒風味のジュース。
「わあ〜、おいしそう!」
「このおすし、おはなみたい〜!」
みんながきゃあきゃあ騒ぐなかで、
ユイは「いただきます」と小さな声で言い、
ちらし寿司をゆっくり口に運んだ。
「ユイちゃん、これおいしいね!」
歩は嬉しくて話しかける。
「……うん。おいしいね」
ユイはちゃんと微笑んだけれど、
その笑顔の奥に、少しだけ影が差しているように見えた。
直はひなあられをぽりぽり食べながら、首をかしげる。
(なんか、ユイちゃん……さみしそう)
ひな祭り会の最後、
先生たちがみんなの写真を撮ることになった。
「女の子はひな壇の前に並びましょう〜、男の子はその後ろね」
ユイはおひなさまの横あたりに立たされて、
カメラに向かって「はい、チーズ」と言われる。
パシャッ。
可愛く写ったはずの写真の中のユイは、
やっぱりどこか、寂しそうだった。
おひなさまとおだいりさまのやさしい顔。ぼんぼりの灯り。
ふわっと甘いひなあられの匂いと、すし酢の香りが混ざり合っている。
「きょうは、ひなまつり会ですよ〜」
カグラサクラ先生の声に合わせて、
園児たちはぱたぱたと集まってきた。
歩も直も、前のほうにちょこんと座る。
ピアノの音に合わせて、みんなでひな祭りの歌を歌う。
歩はちょっと大きな声で、直は少しだけ恥ずかしそうに、
けれどちゃんと口を動かしていた。
ふと、歩は横に座るユイの横顔を見た。
(……あれ?)
ちゃんと歌ってはいる。
でも、その目はどこか遠くを見ているようで、
いつもの“ふわっとした笑顔”がない。
歌が終わると、今度はお楽しみの時間。
テーブルには色鮮やかなちらし寿司とひなあられ、甘酒風味のジュース。
「わあ〜、おいしそう!」
「このおすし、おはなみたい〜!」
みんながきゃあきゃあ騒ぐなかで、
ユイは「いただきます」と小さな声で言い、
ちらし寿司をゆっくり口に運んだ。
「ユイちゃん、これおいしいね!」
歩は嬉しくて話しかける。
「……うん。おいしいね」
ユイはちゃんと微笑んだけれど、
その笑顔の奥に、少しだけ影が差しているように見えた。
直はひなあられをぽりぽり食べながら、首をかしげる。
(なんか、ユイちゃん……さみしそう)
ひな祭り会の最後、
先生たちがみんなの写真を撮ることになった。
「女の子はひな壇の前に並びましょう〜、男の子はその後ろね」
ユイはおひなさまの横あたりに立たされて、
カメラに向かって「はい、チーズ」と言われる。
パシャッ。
可愛く写ったはずの写真の中のユイは、
やっぱりどこか、寂しそうだった。