こもれび日和
その数日後。
3月14日。ホワイトデー。

朝から歩は、いつになく落ち着かない。

「歩、歯みがき、ちゃんとしなさい〜」
「う、うん!」

洗面所で慌てて歯をこすりながら、
歩は自分のリュックの中身を何度も確認した。

そこには、小さな水色の袋。
中には、律と一緒に焼いたクッキーと、
歩が一生懸命描いたカードが入っている。

カードには、
「チョコありがとう 歩より」と、
まだ少し頼りない字で書かれていた。

「そんなに何回も見なくても、入ってるから大丈夫だよ」
蘭が笑う。

「だ、だって……わすれたらたいへんだもん!」

玄関で靴を履きながら、
歩の心臓は、どきどきどきどき鳴っていた。

直、その横で小さな紙袋を抱えている。

「……ぼくも、ちゃんと渡せるかな」
マキに渡す予定の、特製ミニクッキー。
直は直で、やっぱり緊張していた。
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