鏡のはざま〜向こうの世界の君と〜
ハルが言って5分が経った頃……。



「それでね、お兄ちゃんが────」


『コロコロコロ』


「あれ?ビーチボール?」


誰のだろう。とりあえず返しに行かなきゃ……。


「ボール、取ってくるね!」

周りに遊んでる人は少ない。結構遠くから転がってきたみたいだけど……。



あ、あれ?ボールが傾斜があるのかどんどん海の方に進んでいく。


傾斜と言うよりも、ボールに嫌われてるような……。


ボールを取るためにしゃがんだ時、ちょうど大きな波が来た。

えっ……。


早く避けなきゃ。


なのに体が言うことを聞かない。


なんで!動いてよ!


心ではそう思っていても、結局体は動かない。


もう。本当になんで!もう、な、み、来ちゃうよ……。


「ザーー。」


「キャ!」


私は反射的に頭を抱えた。


あしに水が打ち付ける。


他の人は気持ちいと思うかもしれない。

でも私には恐怖にしかならない。


何故か水が恐ろしくて、心の中ではずっと騒いでいて……。


ふと目を開けた。


ボールが海に流されて行ってしまいそうになっている。

あっ。今はボールを取りに来たんだ。手を伸ばしてでも取らなきゃ……。


手を伸ばした。でもボールには届かなくて……。

私の手は水の無い砂に落ちていた。


「すとっ。」


音はそんな音だった。

砂だらけだろうな……。


そう思いながら手を見る。


でもその手には────


「……っえ?……血……。」


血が着いてしまっていた。
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