シェヘラザードに捧げる物語
「そうか……律は結園の全部が好きなんだね」
あの日から三日後。
私は誠太郎くんとカフェで話し合っていた。
話し合うというより、私の主張を誠太郎くんが黙って聞いてくれていただけなんだけど……。
私が就活で苦労したことや、真岡主任との面接で救われたこと。
スタッフの皆が好きなこと。この仕事に誇りを持っていること。
誠太郎くんは私の目を見ながら、時折り頷いては先を促してくれた。
「……だから、私はどう言われようとこの仕事を続ける」
「原嶋さんのご両親の提案を受けたのは、そういうことだったんだね」
「誠太郎くんと結園だったら、私は結園を選ぶよ」
わかってるでしょう、と目配せをした私に、誠太郎くんが返した言葉があれだ。
「……そうだね、愛してると言ってもいいかもしれない」
私は結園ホテルでの仕事が、スタッフの皆が好きで、お客様を支えて作り上げる披露宴を眩しく思う。