シェヘラザードに捧げる物語



 思わず頬を押さえた。

 そうしないと口の端が上がって、すっごい間抜け面を晒しそうだったから。


「律は? 俺のことをまだ好きでいてくれてる?」

「わざわざ聞くの?」

「律の口から聞きたい」


 うなりながら顔を伏せる。ギュッと両頬を押さえて、どうにか表情を整えた。


「誠太郎くん、好きだよ……高校のときから」

「俺も」


 そう言って顔を近づけてくる彼の肩をつかみ、向かいの席に戻した。


「ここ外だよ」

「一瞬、一瞬だから」

「それだけじゃない」


 私はテーブルの上に両手を置いて、軽く指を組んだ。


「お母さんをどう説得するか、一緒に考えてほしいの」

「ああ……」


 誠太郎くんは鼻の頭をかいた。

 お母さんは誠太郎くんを味方だと思ってる。上手いこと話さないと、お母さんは裏切られたと思って頑なになってしまうかもしれない。


「うーん、律の話をベースにして考えるか……」

「お父さんは納得してくれてるから巻き込もう」


 悩む誠太郎くんの顔を盗み見ながら、こんなふうに物語が終わっても協力しあえるよう、私は密かに祈った。



〈了〉
< 205 / 205 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

n回目のリフレイン

総文字数/52,971

青春・友情125ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
八月一日から八月七日 この一週間を 何度も 何度も なんども 繰り返して生きている そんな中で出会った不思議な男の子 今までのループではなかったこと 彼との出会いがきっと きっとループを終わらせると信じて
騙すなら墓場まで

総文字数/52,844

恋愛(純愛)125ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
2026.03.31 誤字を訂正 銀野あお様、レビューありがとうございます。 ひとこと感想やいいね等、読んでくださった皆さまに御礼申し上げます。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop