契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜
もう少し私でなければダメだみたいなロマンチックなプロポーズを期待していた。

 でも、私だって勇でなければダメだと思ったことはない。

 ただ、彼が私にとって居心地の良い相手だったから長いこと付き合ってきた。

 私が婚姻届に署名すると満足げに勇がそれを受け取る。
「もう、今すぐにでも届けに行くか? 結婚式とかしたい? 俺、ああいうの面倒なんだけど⋯⋯」

 勇には私のウェディング姿を見たいとかそういう気持ちはないのだろう。

 生まれた時から近所にいて散々見て来た私のことを、もう見飽きているのかもしれない。

 そのようなことを考えていると、何だか寂しい気持ちになった。

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