契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜
 私は運転手がバックミラー越しに見つめているのに気がつき、慌てて運転席との間のカーテンを閉めた。

「もっと、しても良いってこと?」
 カーテンを閉めた私の行動を勘違いした彼が尋ねてくる。

「ちょっと危ないかと思って! 安全運転できるようにしようかと⋯⋯あと、今日も蓮さんのお見舞いに行きたいんだけど⋯⋯」
 私は蓮さんのことが心配だった。

 昨日すれ違った彼の母親は、私と蓮さんの結婚に強く拘っているように見えた。

 彼女は彼の父親のように彼の身体を心配して来たのではなく、彼に要求を伝えにきたに違いない。

 彼女の持つ雰囲気に、私は小笠原社長と同じような底知れない怖さも感じていた。

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