騎士団隊長の初恋は、訳あり男装剣士でした
第二話「静かな再会」
王都の空は、森よりもずっと高く見える。
石造りの城壁に囲まれた中庭に、乾いた風が吹き抜けた。
旗がゆるやかに揺れ、その影が白い石畳を横切る。
ベイルは、離宮へ続く回廊の柱に背を預けて立っていた。
整えられた制服。
磨かれた剣。
姿勢は隙なく、いつも通り。
けれど、視線だけが落ち着かない。
門へ続く通路を、何度目か分からないほど見やる。
まだだと、分かっている。
到着は昼過ぎの予定だ。
それでも、気づけば視線が向いてしまう。
「……落ち着け」
小さく呟き、腕を組み直す。
王都の喧騒は、森とは違う。
遠くで商人の声が重なり、馬車の車輪が石を鳴らす。
人の気配が絶え間なく流れている。
その中に、あの静かな足音が混ざるのだと思うと、胸の奥がわずかにざわついた。
森で別れた日のことを思い出す。
柔らかくて笑って、見送ってくれた横顔。
王都は、彼女にとって騒がしすぎる場所かもしれない。
無理をさせていないだろうか。
戸惑わせてしまわないだろうか。
ーーいや。
拳を、わずかに握る。
だからこそ、自分がいる。
案内役を任された以上、六日間、責任を持って守る。
それは任務だ。
任務の、はずだ。
「……」
だが、胸に浮かぶのは、任務という言葉よりも。
再会。
ただ、それだけだった。
その時、遠くから馬車の音が近づく。
規則正しい蹄の響き。
王家の紋章を掲げた馬車が、門をくぐる。
ベイルの背筋が、わずかに伸びる。
そしてーー
扉が開く、その瞬間を、息を詰めるように待った。
石造りの城壁に囲まれた中庭に、乾いた風が吹き抜けた。
旗がゆるやかに揺れ、その影が白い石畳を横切る。
ベイルは、離宮へ続く回廊の柱に背を預けて立っていた。
整えられた制服。
磨かれた剣。
姿勢は隙なく、いつも通り。
けれど、視線だけが落ち着かない。
門へ続く通路を、何度目か分からないほど見やる。
まだだと、分かっている。
到着は昼過ぎの予定だ。
それでも、気づけば視線が向いてしまう。
「……落ち着け」
小さく呟き、腕を組み直す。
王都の喧騒は、森とは違う。
遠くで商人の声が重なり、馬車の車輪が石を鳴らす。
人の気配が絶え間なく流れている。
その中に、あの静かな足音が混ざるのだと思うと、胸の奥がわずかにざわついた。
森で別れた日のことを思い出す。
柔らかくて笑って、見送ってくれた横顔。
王都は、彼女にとって騒がしすぎる場所かもしれない。
無理をさせていないだろうか。
戸惑わせてしまわないだろうか。
ーーいや。
拳を、わずかに握る。
だからこそ、自分がいる。
案内役を任された以上、六日間、責任を持って守る。
それは任務だ。
任務の、はずだ。
「……」
だが、胸に浮かぶのは、任務という言葉よりも。
再会。
ただ、それだけだった。
その時、遠くから馬車の音が近づく。
規則正しい蹄の響き。
王家の紋章を掲げた馬車が、門をくぐる。
ベイルの背筋が、わずかに伸びる。
そしてーー
扉が開く、その瞬間を、息を詰めるように待った。