キューピットが恋しちゃダメなのに
キューピットが住む寮に帰るか、仕事を済ますか、どっちにしよう。
今日1番目の担当は、日本のとある場所。
「京極 翔奏(きょうごく・かなた)と星奈 桜桃(ほしな・おと)。きれいな名前・・」
「エナ!今日の仕事一緒にやろーぜ。」
「もちろんだよルイ。でも他の子は?」
「今日はいーの。それともやっぱダメ?」
恐る恐る後ろを振り返ると、他の女の子達の視線が怖い。
男の子にもみられてる気がーー。
「エナ!?」
耐えられなくなって、私は戸惑うルイの手を握って雲の端の仕事場まで走りだした。
「っルイ!?」
次は私がびっくりする番だった。
ルイが、手をぎゅっと握り返したから。
スピードが緩んだ私を引っ張るように走る彼の手は熱くて。
私もそこからじわじわと熱くなっていく。
「ルイ・・」
普段は他の女の子と明るく喋るくせに、私の前では口が重たいルイ。
「着いた!!」
••手、離れちゃったな。
「ぷはっ、エナひとりで百面相してる」
「えっ」
慌てて頬をおさえた私の両手に、再び彼の手が重なる。
ルイの目の中に映るのは私だけ。静寂に吸い込まれそう――。
「••エナって、面白い!!」
「な、なにそれ!?もーぅ!私仕事するからね」
「なんだよ〜」
近くにあった矢と弓の中から直感で1本ずつ選ぶ。
仕事になると、もう周りは目に入らない。
力を抜いて、キリキリキリ、そう、私はこの音を
「えっ?」
強い風が吹いた。
体が浮いた。
片膝をついたルイに伸ばされた手がどんどん遠くなっていく。
何を叫んでいるの。
まったくわからない、きこえないよ。
わかった。
落ちてるんだ――落ちてる!?私、落ちてるっっ。
怖いよ・・
私はそのまま意識を手放した。