あの夏、君の声が消えた
4月
世間が入学式だの新生活など浮かれている中俺は1
人歩いてる。
クラスでも地味な俺には関係のない話だ
「よぉ慶!」
「…お前か。朝っぱらからなんの用だ」
こいつは朔。小学校からの腐れ縁でなんだかんだいつも一
緒にいる。
サッカー部のキャプテンでイケメン、老若男女問わず
モテている。
なんでこいつが俺といるんだか⋯
「朝からそんな辛気臭い顔すんなよ。っと呼ばれたら
から行くわ」
「おー」
ー担任誰だろうね
ー今年も宜しくね!
ーふざけんなよーw
期待に満ちた声が聞こえる
そんな中俺はお気に入りの曲を再生する
高校生歌手『しぐれ』
駆け出しで、事務所にも所属してない、顔もわからない彼女の歌が俺は大好きだ。
儚く、今にも消えてしまいそうな透明感がありつつ、芯のある声。
決して有名ではないしぐれだが、おれはそんな彼女をフォロワー2桁の頃から応援してる。
まあ、こんな感じに冴えない日々を過ごしている。
授業を受けて、飯を食って、また授業。
気づけば帰る時間で、あとは寝るだけだ。
やっと金曜日だ。今日の夜はラーメン食ってくか。
「……っう、うぅ……うぁ……ッ」
どこからか泣き声が聞こえた。
うぇー。めんどくさ、でもほっとくわけにはいかないよ
な⋯。
「どうしたんですか?ほらティッシュとお茶。あ、ちゃ
んと今買ってきたんで大丈夫ですから」
「あ゙りがどうございまず」
同い年くらいか?
「じゃあもう行きますから」
あれ。前に進まない。
「いかないで……いかないで……っひとりにしない
で……!」
ほら、めんどくさい。これだから嫌なんだ
「…いかないで」
そんな顔されたら帰れないじゃないか。
俺は無言で彼女の隣に座った
「 すぐ泣き止むから、だからちょっと……だけ……っう、うぅ……うぁ……ッ」
数分経って彼女は泣き止んだ。
「すみません、迷惑かけてしまって。あ、お茶代返しますね」
「いえ、結構です」
「え?」
彼女はまだ赤い目を見開いてこっちを見た。
「俺が勝手に買っただけなんで」
一瞬固まってそれから微笑んだ。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
っ。
くそ、この子めっちゃ笑顔かわいい。つか儚げで目が離せない。
「も、もう大丈夫なら家、帰った方がいいじゃないんですか?ほら、親御さんも心配してるでしょうし」
「そうですね。本当にありがとうございました」
彼女は深くお辞儀して帰っていった
…なんとなくほっとけない子だったな