きみは硝子のゼラニウム

ラベンダー


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あの学祭の日から、もう2週間が経った。


今日は土曜日。

7月に入って梅雨も本番のはずなのに、空は驚くほど青くて、雲ひとつない。

天気予報では雨マークがついていたのに外れたらしい。

こんな奇跡みたいな晴れは、きっと尋くんのおかげだ、と本気で思ってしまう自分がいる。

だって、彼と会う日はいつも、晴れている気がするから。




待ち合わせの10分前。

早く着きたくて、でも早すぎるのも恥ずかしくて、微妙な時間を計算しながら家を出たはずなのに、胸がそわそわして結局少し速足になる。


改札前に目を向けると、もうそこに尋くんはいた。黒い半袖Tシャツに黒のスラックスなのに、どうしてあんなに目立つんだろう。

壁にもたれながらスマホを見ている横顔が、映画のワンシーンみたいだ。


慌てて駆け寄ると、私の気配に気づいたのか、スマホに落ちていた視線がすっと上がって、まっすぐ私を捉えた。



「すみませんっ…遅くなって…!」



息が少し上がったままそう言うと、尋くんは一瞬きょとんとしてから、ふっと笑った。



「全然。俺が早く来すぎただけ」



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