きみは硝子のゼラニウム




ほんとに、尋くんといたら身が持たない。このままじゃそのうち心臓が耐えきれなくなって、ぽんって音を立てて消えてしまうんじゃないかって、本気で思う瞬間があるくらい。



「行こ」



尋くんはそう言って、その流れのまま、ほとんど無意識みたいに、私の右手を握った。

大きくて少しごつごつした手。

あったかい。どうしよう、あったかい。


手のひらから心臓まで、一直線につながってるみたいに鼓動が早くなる。


尋くんの斜め後ろを歩きながら、その背中を見つめる。広くて、頼りなくなんて全然なくて、むしろずるいくらい安心できそうな背中。


黒いTシャツ越しでも分かる肩のラインに、視線が吸い寄せられる。



だめだ、こういうのよくない。やめよう、やめよう。



学祭のとき、痛いほど思い知ったはずだ。尋くんのことしか見えていなくて、気づいたら自分の靴をどこに置いたのかも覚えてなくて。


それくらい、視界が彼で埋まってしまう。そんなの危険に決まってる。



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