きみは硝子のゼラニウム





ラベンダー畑の中を、ふたり並んでゆっくり歩く。



「尋くん、晴れ男ですか?」



風に揺れる紫の波を眺めながら、ふと思いついてそう聞くと、たぶんそう、って、少し得意げに笑う声が返ってくる。やっぱり、と思う。

ラベンダー越しに見る尋くんは、光の中に溶けそうなくらい眩しくて、私はその横顔を盗み見るたびに、太陽に好かれているのはきっとこの人だ、と何度も心の中でつぶやいた。



「ひなもそうじゃん?」


「え?私?」


「ひなと会うとき、いつも晴れてるけど。違う?」


「……。」



……確かに、思い返してみれば、尋くんと出かける日は不思議と晴れが多い気がする。


でもそれは、尋くんが晴れ男だからだと思っていた。太陽に好かれているのは彼のほうで、私はそのおこぼれをもらっているだけなんだって、ずっとそう思い込んでいたから。


そんなふうに考えたことなんて、一度もなかった。



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