きみは硝子のゼラニウム




「俺じゃなくて、ひなが太陽に好かれてるんだと思うけどな」



そう、なのかな……。


いや、違う。そうじゃない。


だって、私にとっての太陽は、どう考えても尋くんだから。

キラキラしていて、まっすぐで、気づけば視線を奪われてしまう存在。



「俺も被ってくればよかった」



そう言いながら、私のキャップのつばを指先で少し持ち上げる。

強い光が一瞬差し込んで、視界が白くなる。


そのまま尋くんはかがんで、私と目線の高さを合わせてくる。

風に揺れるラベンダーの香りよりも、尋くんの存在のほうがずっと濃くて、息がうまくできなくなる。


毎回、こうやって不意打ちみたいに心臓を揺らしてくるからずるい。

でもそれと同時に、私以外にもしてるんじゃないかな、とか。尋くんは、ひなにしかこういうことしない、ってそういってたけれど。


でもたぶん、無意識で女の子をドキドキさせていることいっぱいあると思う。ちょっと反省してほしいくらい。



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