きみは硝子のゼラニウム
とん、と肩が軽く触れた。その小さな接触に、体の奥が一気に熱くなる。
尋くんもそれに気づいたみたいに、ゆっくり私のほうを向いた。
視線が絡む。逃げられない。
「今の俺にぴったりの花言葉だな」
「…っ、」
さらっと、でもどこか意味ありげにそう言う。
でも、そういいながらも、この距離に、その言葉に、心臓をうるさくしてるのはいつだって私だけなんでしょう。
「ねえ、ひな。好きだよ」
あまりにも自然に、変なタイミングでそう言うから、心臓が一瞬止まった気がした。
ラベンダーの香りも、風の音も、遠くで笑っている観光客の声も、全部ふっと遠のく。
「…な、今言うことじゃっ…」
「そう?俺は今言いたかった」
クスッと笑う尋くん。その余裕そうな目元、その緩んだ口元。またしても、私は簡単にノックアウトされる。
「…なんで私ばっかり、振り回されてるの…?」
キャップのつばを少し下げて、視線を隠すみたいに俯きながら小さく呟く。
だってそうじゃない?好きって言われたのは私なのに、動揺してるのも、顔が熱いのも、鼓動がうるさいのも、全部私だけ。
尋くんはこんなにも落ち着いていて、まるで私の反応を楽しんでいるみたいで、悔しい。