きみは硝子のゼラニウム




「そりゃそうだろ?口説いてんだから、振り回されてないと逆に困る」



頭の上から降ってくるその言葉に、思わず息を呑む。


口説いてる、なんて。そんなの、人生で一度も自分に向けられたことない。

免疫ゼロなんだってば、こっちは。


どんな顔でそんなこと言ってるのか見たくなくて、でも見たくて、ほんの少しだけ顔を上げる。


すると、予想外の光景が目に飛び込んできた。膝に頬杖をついて私を見つめている尋くん。


その頬が、ほんのり赤い。


え……?


驚いて目を丸くすると、尋くんは一瞬視線を逸らしてから、なに?と、ムッとしたみたいに眉を寄せる。



「…尋くんでも、照れたりするんだ…」


「まだ俺のこと王子様だとか思ってんの?やめな?」


「だって…いつも余裕そうだもん…私ばっかりドキドキしてずるい…」



自分の膝をぎゅっと抱きしめる。

ほんとに、私ばっかり振り回されてる。



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