きみは硝子のゼラニウム
本来なら、「好き」って言われた側の私のほうが、もう少し余裕を持っていてもいいはずなのに。
なのに現実は真逆で、私はいつも一歩遅れて、尋くんの言葉に一喜一憂して、勝手に赤くなって、勝手に期待して、勝手に不安になってる。
「そんなことねーよ?いつもなら長期戦とか絶対嫌だけど、今回は時間かけたいと思ってるし、なによりかっこつけてるけど余裕なんて全然ない」
一瞬、言葉の意味を理解するのに時間がかかった。
長期戦は嫌。でも今回は時間をかけたい?それって、それってつまり――。
顔を上げると、尋くんは、はは、って小さく笑いながら、優しい目で私を見ていた。
大きな手が、そっと私の頭に触れる。
今日、キャップなんてしてこなければよかったかも、なんて思ってしまう。
ほんとに、私だけ?ほんとに、私のことが好き?なんで好きなの?私なんかの、どこが好きなの?
尋くんは太陽みたいで、誰にでも優しくて、まぶしくて。
俯いたまま動けずにいると、尋くんが何も言わずに私の左手をとった。
大きくて、あたたかい手を、そのままゆっくり、自分の胸にあてる。
シャツ越しに伝わる体温と、確かな振動。