きみは硝子のゼラニウム




「ドキドキしてんの、わかる?」



低くて、少し掠れた声。手のひらの下で、トクン、トクンって、はっきり感じる鼓動。

速い。思っていたよりずっと速い。



「…う、ん」


「ひなといるとき、いつもこんなん」


「…っ、」



……ずるい。たまらなく、ずるくて、かっこよくて、まぶしい人。

私だって、ドキドキしてる。さっきからずっと、壊れそうなくらい鳴ってる。


でも尋くんの心臓も、私と同じ速さで、同じくらい必死に鳴っている。



「ひな。俺の、なにがダメ?」



ぎゅっと強く、でもどこか不安を隠すみたいに私の手を握って、尋くんが顔を覗き込んでくる。


“俺の、なにがダメ?”


その言葉が胸の奥で何度も反響する。


ダメなところなんて、あるわけない。かっこよくて、優しくて、真っ直ぐで、こんなにも私を大事にしてくれてる人に、ダメなところなんてひとつも見つからないのに。



「ダメとかじゃないけど…まだ出会ったばかりだし…」



まだ出会って1カ月と少ししか経っていない。私のことを決めるのはどうかと思うの。



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