きみは硝子のゼラニウム




この人は、全部わかったうえで、それでもいいって言う。どこまでも優しいその言葉に、堰を切ったみたいに涙が溢れる。

ラベンダーの紫がぼやけて、太陽の光が滲んで、世界が揺れる。



「全部俺に預けて、飛び込んでおいで」



預けるなんて、怖い。飛び込むなんて、きっと、もっと怖い。


でも今、握られているこの手は離れない。こんな私でも、いいって言ってくれる人がいる。



震える足で、そっと一歩近づいた瞬間、尋くんは私のキャップを取って、迷うことなくぎゅっと抱きしめてきた。


ラベンダーの甘い香りと、彼自身のあたたかい香りが入り混じって、胸がいっぱいになる。


腕の中は柔らかくて広くて、私なんて簡単にすっぽり収まってしまう。




全部、全部、預けられたらどんなに楽だろう。




………このまま、尋くんのことを好きになれたら、どんなに幸せだろう。





叶うはずもないことだって、頭ではわかってるのに、



どうしても願わずにはいられなかったの。














” ラベンダー ”

― 献身的な愛 あなたを待っています





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