きみは硝子のゼラニウム




「無理して笑わなくていいよ」


「え?」


「俺は、ひなが寂しい思いをさせないために来たんだし」



その言葉と一緒に、尋くんは優しく微笑みながら、そっと私の頭を撫でる。

指先の温かさが、体の奥まで染みて、思わず目の奥が熱くなる。

キラキラと降り注ぐ星と、止まらない涙で、視界が少し滲む。


泣いてばっかりだ、私。

尋くんと出会ってから、ずっとこんな調子。

出会う前の私は、もっと強くて、弱虫じゃなかったのに。




「いっぱい泣いていいよ」



初めて会った時もそう言われた言葉が、またしても私の心を溶かしていく。



「…っ、うっ…」



よしよし、と言われると、完全に子ども扱いだけど、大きくてあったかい手は、今の私に必要なすべてだった。



「今日、誰もいないの?」


「…お父さん、仕事で出張中でっ…お医者さんだからっ…」


「あー、そっか。ずっと寂しかったな」


「…っ!」




…寂しかった。


寂しかったんだよ。


ずっとひとりで、誰にも言えず、ただ寂しかったの。



< 128 / 301 >

この作品をシェア

pagetop