きみは硝子のゼラニウム
「尋くん、起きて。今日、予定とかないの?」
私も、床に転がるように、うつ伏せの彼の顔を横から覗き込む。
沈黙。返事はない。でも、よく見るとまつ毛がわずかに揺れた。
寝てる、というよりは…起きてる?
「……。」
すると、腕の隙間から、チラ、とこちらを盗み見る視線が覗いて、ばっちり目が合う。
な……なんでそんな、ちょっと照れたみたいな顔してるの。
耳までほんのり赤い気がするのは、朝の光のせいじゃないと思う。
「尋くん…?」
どうしたの?と問いかけようとした、その瞬間。
ガバッ。
勢いよく上半身を起こした尋くんが、「あー……」と低く声を出して、そのまま両手で顔を覆ってしまった。うなだれるみたいに肩を落としている。
「ごめん、抱きしめて。完全に寝ぼけてた」
私のほうを見ないまま、少しだけ低くなった声でそう言う尋くん。その横顔はどこか気まずそうで、耳の先がほんのり赤い。
「……っ、」
なにそれ……。
なんでそんなにかわいいの。
胸の奥が不意打ちみたいにきゅん、と跳ねる。
さっきまでのドキドキとは違う、もっと深いところをぎゅーって掴まれる感じ。息が詰まりそうで、でも苦しくない。むしろ、もっと欲しいと思ってしまう自分がいる。