きみは硝子のゼラニウム



その瞬間、教室の空気が妙に静かになっていることに気づいた。


……あれ?


チラ、と周りを見渡す。すると、なぜか教室にいるほぼ全員が、さりげなく、でも確実に私のほうを気にしている。


視線があちこちから刺さる。ヒソヒソ、と小さな声が重なって、ざわめきが広がる。


……な、なに?



「……えっと、なんのこと?」



恐る恐る聞き返すと、金森くんは目を見開いた。



「え!?もしかして、何も聞いてない!?」



え、なにを?

ますます分からない。


頭の中が真っ白になる。周りのヒソヒソ声が、今度ははっきりと耳に入ってくる。


――ほんとに誰も誘わなかったの?
――え、まじで?
――でも、どうせ来ないでしょ。


その断片的な言葉で、なんとなく察してしまう。


「夏休み前にクラス会しようって話になっててさ、カラオケ行くんだけど、よかったら来ない?」


「……。」



きっと、あえて誰も私には声をかけてこなかったんだろう。



「ほかの女子から聞かなかった?」



少し心配するような顔でそう言われて、余計に喉が詰まる。



< 153 / 301 >

この作品をシェア

pagetop