きみは硝子のゼラニウム




頬杖をついて、そっと俯く。

長い髪がさらりと落ちて、自然と顔を隠してくれる。この癖は、きっとずっと消えない。視線を避けるための、私なりの防御。



「一色さん。ちょっと顔出す、とかでもいいよ?もし時間あったら!店の場所だけ教えとくね」



金森くんは、悪気なく、むしろ気を遣ってそう言ってくれる。



「…ありがとう」



小さく返すと、彼は嬉しそうに頷いた。


でも、気づいてないのかな。周りの視線。さっきまで私をチラチラ見ていた子たちが、今度は金森くんのほうを見ていること。私と話している彼を、どういう目で見ているか。



もし時間あったら、って言ってくれたけど。

たとえ本当に時間が空いていたとしても、きっと私は行かない。


お店の場所を丁寧に教えてくれる金森くんに、もう一度小さくお礼を言う。


ちょうどそのタイミングで、担任の先生がガラリと扉を開けて教室に入ってきた。



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