きみは硝子のゼラニウム
配達帰りのエプロン姿に、大きめのカバン。そんなふうにまじまじと見られるの、慣れてない。
緊張で指先がそわそわして、カバンの持ち手をぎゅっと握りしめた。
「何のバイトしてるの?エプロンってことは…」
「…お花屋さんなの。ここの」
そう言って、私は肩から提げていた、Petal & Co.の刺繍入りカバンをそっと持ち上げた。淡い糸で縫われた店名のロゴが、夕暮れの光を受けてやわらかく浮かび上がる。
ほんの少し照れくささが混ざって、うまく目を合わせられない。
そもそも、クラスメイトと学校の外でこんなふうに立ち話をするなんて、今までなかった。制服じゃない自分を見られるのも、なんだか落ち着かない。
「へ~!似合うね!」
ぱっと表情を明るくしてそう言われ、思わず瞬きをする。
「そう…かな?」
前のめり気味の距離感にたじろぎながら小さく返すと、金森くんは大きくうなずいた。
「そうだよ、超似合う!一色さんかわいいし、華やかだし!」
は、華やか…!?
かわいい、だけでも処理が追いつかないのに、その上、華やかなんて。
それは、どうだろう…!?
いやいや、と手を横に振りまくるけど、いたたまれない!早く、帰りたい…!!