きみは硝子のゼラニウム
学校帰り、だよね。こんな時間ってことは、きっと何か用事があったのかもしれない。
進路がもう決まっているとはいえ、書類とか、先生との面談とか、意外と忙しいって聞いたことがある。
……それとも、ただ遊んでいただけ?誰と?どこで?放課後のカフェとか、ゲームセンターとか、女の子と笑いながら並んで歩いていたりして。
そんな想像が、じわじわと胸の奥に広がっていく。
やめたいのに、勝手に膨らんでしまう。
別に、尋くんが誰と何をしていようと、私には関係ない。
いくら、好き、だからって。私は彼女でもなんでもない。ここまで踏み込んで考えるのは、きっと見当違いだ。
自分に言い聞かせるみたいに、ぎゅっと拳を握りしめた。
「一色さん?」
はっとして顔を上げると、金森くんが少し険しい表情でこちらを見ている。
その視線は、私というより、明らかに隣に立つ尋くんへ向けられていた。
「この人、一色さんの知り合い?」
「あ、えっと…」
どう言えばいいんだろう。
バイト先の常連さん?でもそれは正確には尋くんのお母さんで、尋くん自身は、たまに顔を出してくれる人、というか。でも実際、よく店に来てくれるのは本当だし……。