きみは硝子のゼラニウム




学校帰り、だよね。こんな時間ってことは、きっと何か用事があったのかもしれない。

進路がもう決まっているとはいえ、書類とか、先生との面談とか、意外と忙しいって聞いたことがある。


……それとも、ただ遊んでいただけ?誰と?どこで?放課後のカフェとか、ゲームセンターとか、女の子と笑いながら並んで歩いていたりして。


そんな想像が、じわじわと胸の奥に広がっていく。

やめたいのに、勝手に膨らんでしまう。



別に、尋くんが誰と何をしていようと、私には関係ない。


いくら、好き、だからって。私は彼女でもなんでもない。ここまで踏み込んで考えるのは、きっと見当違いだ。


自分に言い聞かせるみたいに、ぎゅっと拳を握りしめた。



「一色さん?」



はっとして顔を上げると、金森くんが少し険しい表情でこちらを見ている。

その視線は、私というより、明らかに隣に立つ尋くんへ向けられていた。



「この人、一色さんの知り合い?」


「あ、えっと…」



どう言えばいいんだろう。

バイト先の常連さん?でもそれは正確には尋くんのお母さんで、尋くん自身は、たまに顔を出してくれる人、というか。でも実際、よく店に来てくれるのは本当だし……。



< 159 / 301 >

この作品をシェア

pagetop