きみは硝子のゼラニウム
周りの通行人が「なになに?」という顔でちらちら見てくるのがわかって、余計にあたふたしてしまう。
やっぱり今日、おかしい…!
「尋くん、どうしたの?体調悪い?」
慌てて私もしゃがみ込んで、そっと声をかける。でも、尋くんは顔を見せてくれない。返事もすぐには返ってこない。
胸がじわじわ不安で満たされていく。
私、なにかまずいこと言った?どうしよう。嫌われたらどうしよう。
ぐるぐると悪い想像ばかりが膨らんで、喉が詰まりそうになる。
「…ほんと、ごめん。情けねー」
くぐもった声が、腕の隙間から落ちてきて、よいしょと小さく呟いて、尋くんは立ち上がる。膝に手をついたまま、少し前かがみ。顔はまだうつむいていて、表情が見えない。
情けないって…?なにが?
「な、なにが…?尋くんは、情けなくなんかないよ?」
「…まあ、うん、嬉しいけど…ダサいな、俺」
ダサい?どこが?
意味がわからなくて、ただ目を瞬かせる。
ゆっくりと顔を上げた尋くんは、眉を少し下げて、困ったみたいに笑った。その表情は、見慣れた、優しくて少し余裕のある尋くんの顔。