きみは硝子のゼラニウム
好き、なんて簡単な言葉なのに、その二文字を認めた途端、些細なことまで気になってしまう自分がいる。
この時間までなにしてたの、とか。夏休み、なにか予定あるの、とか。
本当は聞きたい。喉まで出かかってるのに、どうしても聞けない。
聞いてしまったら、何かを期待している自分が透けて見えそうで怖いし、期待されているって思われるのも嫌で、重たいって思われたらどうしようって、ぐるぐる考えて、結局なにも言えないままいつも口を閉じる。
うまく言葉にできないけれど、今はまだ、自分の中でこの気持ちを処理するので精いっぱいだ。
胸の奥がざわざわして、理由もなくむしゃくしゃして、ひとりで勝手に疲れてしまう。
だって、こんなの初めてだから。
視線の合わせ方も、好きになったあとの正解も、なにもかも分からない。
気持ちを伝えようと思っても、勇気が足りない。
『好きになったら、早めに教えて』と、あの日、尋くんは言った。
早め、っていつのことだろう。もう今すぐ?それとも、もっとちゃんと覚悟が決まってから?