【完】きみは硝子のゼラニウム
嬉しい。たまらなく嬉しい。
でも同時に、怖い。
期待してしまう自分がいるから。
もしかして、って思ってしまう自分がいるから。
お願いだから、これ以上好きにさせないで。そう願っているのに、隣で無邪気に笑う尋くんを見た瞬間、私はまたひとつ、どうしようもなく深みに落ちていってしまう。
「…尋くんのせいで、私、」
「ん?」
……今にも壊れそうだよ、なんて。
不思議そうに首を傾げるその仕草さえ、愛おしいと思ってしまう自分がいる。
胸の奥がいっぱいで、少しでも口を開いたら全部こぼれてしまいそうで、私はぎゅっと唇を噛みしめる。
伝える勇気は、ずっとない。以前より距離が近くなった今でも、やっぱり、ない。
溢れそうになる感情に、ひたすら蓋をして、何もなかったみたいな顔をするので精いっぱいだ。
恋って、ほんとに嫌だ。
こんなにも自分をコントロールできなくなるなんて聞いてない。恥ずかしい。
勝手に期待して、勝手に落ち込んで、勝手に舞い上がって、そのたびに一人で振り回されている自分が、どうしようもなく恥ずかしい。