【完】きみは硝子のゼラニウム




明日にしようかな、と一瞬思う。


でも、明日になったら、きっと怖くなってできない。

送るなら、今しかない!

……なんだけれど。



……尋くんも、もしかしたら、いつもこんな感じだったのかな。私をデートに誘うとき、送信ボタンを押す前、こんなにもドキドキしてたのかな。あんなに余裕そうに見えて、本当は少し不安だったりしたのかな。


経験値の差はあれど、ほんの少しでいいから、同じくらいドキドキしてくれてたらいいのに、なんて、わがままなことを思う。


深呼吸をひとつ。画面の文字を最後にもう一度だけ読み返す。



〈8月に入ったら、ひまわり畑行きませんか〉



……よし。意を決して、文章とポスターの画像を勢いで送った。

スマホを胸に抱きしめて、天井を見つめる。急に、断られたらどうしよう、って不安が押し寄せる。



返事、かえってこないな……。


スマホの画面を何度も確認してみるけれど、通知は一向に増えない。忙しいのかな。それとも、まだ気づいてないだけ?

そんなことを考えながら、私はベッドに寝転がって天井をぼんやり眺めた。


待っているだけの時間って、どうしてこんなに長く感じるんだろう。



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