きみは硝子のゼラニウム
ひまわり畑は、思っていたよりもずっと壮大で、思わず息をのむほどだった。
見渡すかぎり一面に広がる黄色の海。
その中には、私よりも、そして隣を歩く尋くんよりも背の高いひまわりが、これでもかというくらいたくさん並んでいる。
真夏の太陽を浴びて、まっすぐ上を向いて咲いている姿は、まるで空に向かって手を伸ばしているみたいで、きらきらして見えた。
「あちー……」
尋くんがそう言いながら、Tシャツの襟元をパタパタとあおぐ。その動きに合わせて、首元をつたう汗がきらりと光った。夏の強い日差しのせいか、それとも別の理由なのか、胸の奥が少しだけざわつく。
思わずその様子をじっと見つめてしまっていたら、なーに?と尋くんが振り返って、いつもの優しい笑顔で微笑んだ。
からかわれたわけでもないのに、急に顔が熱くなってしまう。
「な、なんでもない……」
慌てて目をそらす私を見て、尋くんは小さく笑った。
「迷路みたいになってんな。でれるかな?」
背の高いひまわりにぐるりと囲まれた道を歩きながら、尋くんが周りを見回す。
確かに、背丈の高い花たちの間を通る道は細くて、どこも似た景色に見える。
迷子になりそうだけど、足元を見ると、ちゃんと矢印の看板が置いてあって、進む方向を教えてくれていた。