きみは硝子のゼラニウム




太陽に向かって、まっすぐに咲いているひまわりたち。その鮮やかな黄色は、まぶしいくらいで、目を細めてしまう。


夏にぴったりのその花は、私にとってずっと憧れだった。どんなときも太陽のほうを向いて咲く花。強くて、まっすぐで、きれいで。もし自分もこんなふうになれたらいいな、なんて、少しだけ思ってしまう。


背の高いひまわりを見上げながら、ぼんやりそんなことを考えていたときだった。


カシャッ。

静かな畑の中に、小さなシャッター音が響く。



「……今、撮りました?」



振り向くと、少し離れたところでスマホのカメラを構えている尋くんがいた。



「いい顔してたから」



尋くんはスマホの画面をちらっと見て、満足そうに小さくうなずいた。


……ずるい。でも、私だって、尋くんの写真ほしいっ!この前、一緒に出かけたときは、タイミングを逃して全然撮れなかった。だから今日は、ちゃんと準備してきたんだから。


バッグの中には、スマホじゃなくて、わざわざ持ってきたデジカメが入っている。

今日は絶対、尋くんの写真を撮るって決めてきたんだ。こっそりバッグに手を入れて、デジカメの感触を確かめる。



よし……チャンスを逃さないようにしなきゃ。ひまわり畑の中で笑う尋くんの姿、絶対きれいだもん。



< 192 / 301 >

この作品をシェア

pagetop