きみは硝子のゼラニウム




胸の奥がそわそわして落ち着かない。今までだって何度も一緒に出かけてきたけど、私から誘ったのは、これが初めてだったから。

もし迷惑だったらどうしよう。無理して来てくれてるだけだったらどうしよう。



「迷惑なわけない」



すぐに返ってきた言葉に、思わず顔を上げる。尋くんは、さっきと同じ優しい顔で私を見ていた。



「ひながしてくれることなら、全部嬉しい」


「……ほんと?」



つい確かめるように、チラッと上目遣いで見上げてしまう。そんな私を見て、尋くんは「ふはっ」と小さく笑った。

そして、風にふわりと揺れた私の髪に手を伸ばして、そっと、耳にかけてくれる。


この人の、こういうところが好きだ。

優しくて、さりげなくて、きらきらしたその瞳も好き。


その瞳の中に映っているのが私だと思うと、なんだか少しだけ、自分のことまで好きになれそうな気がするから。



「好きな人にされて嫌なことなんてないから、わがままとか、もっとちょーだい」


「……っ、」



一瞬、言葉が出なかった。

気づいたら、この気持ちはどんどん大きくなっていた。
前よりも、ずっと。




< 195 / 301 >

この作品をシェア

pagetop