きみは硝子のゼラニウム




尋くんのこと、好きなんだよ。

たったそれだけの言葉なのに、どうしても言えない。

好き。でも、まだ怖い。


尋くんに出会ってから、私の世界は少しずつ変わった。こんな私でも好きだって言ってくれる人がいるんだって、初めて知った。

だけど、それでも私は私が嫌いで、どうしても思ってしまう。やっぱり違う世界なんじゃないかって。



まぶしい夏。

太陽に向かって咲く、大きなひまわり。きらきらした光の中で笑う尋くんは、この景色にすごく似合っている。


そんなあなたの隣に立つのは、やっぱり私じゃないんじゃないかって、どうしても思ってしまう。



胸の奥がぎゅっと締めつけられて、視界が少しだけ滲む。泣きたくなって、顔を上げられなくて、私は俯いた。

そのとき、ひな、と上から、甘い声が落ちてきた。


たった一言、名前を呼ばれただけなのに、胸の奥が大きく揺れる。顔を上げなくてもわかる。


その声の優しさも、温度も、全部。好きだ、と思う。どうしようもないくらい、好き。

声も、笑い方も、優しい手も、まっすぐな瞳も。


全部、全部好き。



「……絶対に、伝えるから。ちゃんと、尋くんの隣に立てる自分になったら、伝えに行くから。だから、それまで、待っててくれる?」



震える声でそう言いながら、私は地面を見つめたままだった。



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