きみは硝子のゼラニウム




顔を上げる勇気がなくて、ただ足元の土と、ひまわりの影だけを見つめる。

こんな言い方、ずるいってわかってる。でも、今の私にはこれが精一杯だった。


すると尋くんは、少しも迷わない声で言う。



「ずっと待てるし、どんなことでも受け止めるから。安心して飛び込んできていーよ」



また、そんなふうに簡単に…。


うれしいくせに、胸がぎゅっと痛くなるから、そんな簡単に言わないで、なんて思ってしまう。
やっぱり、この人は手の届かない存在なんだなって、どこかで思ってしまうから。



尋くんは当たり前みたいに私の手を握ると、そのまま歩き出した。

温かくて、大きい手。振りほどこうとは思わない。

ひまわりに囲まれて歩く尋くんの背中が、夏の光の中でまぶしく見える。



私の心の中には、いらないものが多すぎる。


ぐちゃぐちゃに絡まった感情とか、過去とか、自分でもよくわからない不安とか。自分で選択することができなくて、何を大事にしていけばいいのかもわからなくて。



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